今までデイトレーダーだった人が、最近は子育てが忙しいからスキャルをやっているという。
そしてスキャルは時間も瞬間で終わることが多いし、ロット数が多ければ、かなり時間効率のいい勝ち方だ!と言っている。
私も同感。
しかし、同時に、不安要素もかなりある。一般ピープルに対して...
例えば、カルメンが私たちを相手にプレゼンをするとする。仮に3時間のワークショップ。
さて、彼女は準備を万端というくらいにするだろう。そしてその準備があるからこそ、実際のプレゼン中はハイパフォーマンスに徹することができるのだ。
私が思うに、「ハイパフォーマンス」になるには、やはり何らかの「パフォーマンス」ができないと無理だと思う。そしてそのパフォーマンスの精度を高めるのが、やっぱり準備に他ならないのだ。
これをトレードで置き換えると、やっぱりシナリオ作りは準備に値すると思う。これは各通貨ペアによっても違うし、その日の経済指標の発表を事前に確認していれば、東京時間は動きが少ないかどうかもある程度は予想されると思う。
肝は、実際のパフォーマンス=トレードの時に、限りなく想定外と思えることを少なくして、それと同時に、いかに想定外のことが起きようとも、それを柔軟に活用すればいいのだと思う。
例えるとするならば。
セラピストとして、今日は一人のクライアントがいるとしよう。そして、彼は過去1ヶ月、毎日、他のセラピストのところへ通っていたのだが、そのセラピー中の状態をビデオカメラで撮っているとしよう。そして私は、今日のセッションの準備のために、彼のその過去30日分のセッションの録画をまずは観るとする。
その段階で、私はまだ彼に会ったこともないのに、彼をカリブレーションし始める。彼のパターンを認識し始める。自分がとっていたかもしれない介入パターンを思いつく。さらに、第3ポジにいるので、そのセラピストの対応についてさえもフィードバックすることもできるだろう。
そして今日、彼を「初めて」クライアントとして迎えるのだ。
もちろん、経験豊かなセラピストであれば、上記のような事前の準備は必要ないかもしれない。それは、彼の経験自体が、すでにリアルな準備そのものとなっているため、当日のセラピーの間は、ハイパフォーマンスに徹することで、より活用ができるだろうからだ。
しかし、経験不足のセラピストの場合、ぶっつけ本番がすべてよいわけではない。もし事前に録画されていたクライアントの記録などがあれば、それを観察するのに越したことはないかもしれない。
そしてそれなりの経験を積んだ後は、もしかしたら、1日に20人のクライアントを迎えることも可能かもしれない。セラピストとしての介入パターンも無数にあり、また、カリブレーション能力も卓越しているので、クライアントのほんのちょっとの仕草や言語パターンさえ見逃すことはないかもしれない。
しかし、経験不足のセラピストに、その荷は重過ぎるのだ。
結局、nervous break down になるか、セラピストに嫌気をさすか、自分の能力のなさを必要以上に感じることになるかもしれない。
なぜスキャルが難易度が高いかといえば、トレード中、第3ポジに入る機会を自分で見失いがちだからだ。ステートチョイスを忘れ、第一ポジに入りすぎ、セルフカリブレーションやマーケットカリブレーションを怠り始める。その結果、リスク管理は甘くなり、結果、破産である。最終的に。
では、日足ベースのスウィングトレーダーはどうだろう。エントリーの機会は減るだろうが、準備の時間は多く、また、エントリーやエグジットに関しても時間がより多くあるので、第3ポジで自分へフィードバックしやすいのである。
何事も基礎が大事なのだから、仮にスキャルパーを目指したくても、まずは基本のチャートカリブレーションが必要だろう。
また、自分のパフォーマンスにより期待できる変化の大きさについても考えてみたい。例えば、月に一度、都内で20人位を相手にワークショップしているとする。その場合、いくら詳細な計画を立てたとしても、自分ではライブで月に20人しかメッセージを伝えられない。
または、もしかしたら、昔よく流行っていた無料面談みたいなのを、一人30分刻みで、お昼を1時間取って、朝9時から夜の9時までやれば、1日に22人の人たちに会える。もちろん1対1なのでその中身は濃いかもしれない。
そして、もちろんそういったコンタクトしている場を動画配信などによりネットで映像化することで、より不特定多数の人たちにメッセージを運べるかもしれないけれど、直接的な交流という意味では、関係性が少し薄くなるかもしれない。
ここで別のパターンを考える。
もし、バラック・オバマが名演説をするとしよう。シカゴでもDCでもどこでもいいけれど、もしかしたら、1万人集まるかもしれない。もっとかも知れない。それはテレビなどでももっと多くの人に見られるだろう。そしてより多くの人が、彼に共鳴するかもしれない。
ここでの私のポイントは、ただ一つ。
どちらの労力がより大きいか?
私はどちらもそれなりに等しいと信じる。
そして、どちらの方がより影響力が大きいか?
私は、バラックの方がより大きいと信じている。
もちろん個人ベースで考えれば、個対個の広がりの場はできる。でも、例えば "I have a dream" のキング牧師の時の場のパワーと比べると、やっぱり小さいと思う。
自分がスキャルパーになりたいかをもし問われたら、一番の危惧はこの点なのだ。私は、1度広がったものは、どんどん無限に広げていきたいと思う。小川がやがて大海原になるように。
でも、スキャルビングの限界は、小川が大きな川で終わる点なのだ。資産規模が大きくなれば、あの動きは不可能だと思う。そして、もし有能なスキャルパーを育てたとしても、私はなぜかそこに自己完結型の世界しか見えないのだ。
バラックにも悩める友人たちはいる。彼らと1対1のコミュニケーションを通して、何かの場を作ることもできるだろう。しかし、同様に、彼はもう一つの大統領としてのコミュニケーションもオプションとして選んだのだ。そう、彼はポジションを変えることができる。
それは、経験を積んだトレーダーは、状況に応じて、スウィングやデイ、スキャルピングもできるということにも繋がるのかもしれない。
これは単なる可能性で、もちろん、その人の好みは出てくるだろう。
しかし、大統領としての肯定的意図を満たすため、彼はポジションを変える自由と勇気と謙虚さを持つのだ。
仮にマーケットのボラティリティが高いとして、日足だけで判断するにはSLが多くなるとしよう。その場合は、自分のポジションを変えさえすれば、別の世界が見えるかもしれない。何ともトレードしやすいチャートが突如として出現してくるかもしれないのだ。
そう、自分が今、見ているチャートは、あくまでも、自分の内的世界観と一緒なのだ。そこだけに凝り固まっていると、柔軟性を失い、リフレームができにくくなる。
リフレームは果たして何のためにあるのだろうか。
それは、無限の可能性へと続く自由のためにあるのだから...